韓国の国籍喪失申告とは?
韓国籍者が日本に帰化した場合、その時点で自動的に韓国国籍を失います。
しかし、その事実が自動的に家族関係登録簿に反映されるわけではありません。
家族関係登録簿にその事実を反映させるには国籍喪失申告が必要です。
国籍喪失申告をしないと家族関係登録簿から除籍されず、家族関係証明書を見ると、まだ韓国人であると見えてしまいます。
そのリスクは予測しにくいですが、兵役や相続などで不測のトラブルを避けるために、国籍喪失申告をすることが有効な手段となります。
罰則は?
国籍喪失申告をしない際の本人への罰則はありませんが、韓国籍の配偶者または四親等以内の親族が、本人の国籍喪失を知った場合は、1ヶ月以内に国籍喪失届をする義務を負う(罰則あり)、という規定があります。
日本政府の通知により自動的に閉鎖されるのでは?
1984年から日本政府の通知により家族関係登録簿の閉鎖が自動で行われていると言われています。しかし私が以前その確認サービスをやっていた時に、何年も経っても閉鎖されていない人が複数人いました。理由は分かりませんが、全員閉鎖されていると確実には言えないというのが実感です。
相続と国籍喪失申告の関係
帰化した人が亡くなった際に、生まれてから亡くなるまでの戸籍が必要になります。
生まれてから帰化するまでは、韓国の除籍謄本・家族関係証明書が必要で、帰化してから亡くなるまでは日本の戸籍謄本が必要になります。
両者が連続したものとしてセットで必要になるということです。
その際に韓国の家族関係登録簿が国籍喪失申告によって閉鎖されていないと、日本の戸籍謄本への繋がりが明確にならず、完全に連続したものとは言えなくなってしまいます。
韓国の家族関係登録簿が国籍喪失申告によって閉鎖されていれば、国籍喪失日と日本の戸籍謄本の帰化日が同一の日となって繋がりが明確になり、相続書類として完璧なものとなります。
韓国国籍喪失申告の手続きの概要
誰がどこに申告するのか
国籍喪失者本人が住所を管轄する駐日韓国大使館・領事館に出向いて申告します。
15歳未満の方は父又は母が替わって申告します。
「配偶者または四親等以内の親族が代理で申告できる」で案内している領事館もあります。親族が実際に代理で申告できるかどうかは大使館・各領事館に確認した方が良いかと思います。
申告期限
帰化日から1ヶ月以内を目安に申告することをお勧めします。
なお、期限が過ぎても申告は可能です。
「配偶者または四親等以内の親族は、本人の国籍喪失を知った日から1ヶ月以内にしなければならない。」という規定(家族関係の登録等に関する法律第97条)があります。これには罰則があります。
主な必要書類
- 国籍喪失申告書
- 国籍喪失者の基本証明書と家族関係証明書
- 帰化事項が記載された日本の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)(原本と韓国語翻訳文)
- 住民票(原本と韓国語翻訳文)
- 日本のパスポート(原本とコピー)
- 顔写真(縦4.5㎝・横3.5㎝)1枚
- 印鑑(印鑑の代わりに申告書へは署名で替えられます。)
各書類の解説
国籍喪失申告書
- 書類の入手先:大使館・領事館のサイトからダウンロード
- 駐大阪大韓民国総領事館-国籍喪失案内ページ(こちらに掲載のものが最新版と思われます。)
- ハングルで記入
- 署名・日付は当日記入
- 15歳未満は父又は母が代理人として署名
国籍喪失申告書記入例(駐大阪大韓民国総領事館サイト掲載)

- 姓名(ハングルと漢字)
- 性別
- 日本の氏名
- 生年月日
- 現在の国籍名
- 出生地(日本の戸籍謄本の出生事項欄記載の市区町村名)
- 電話番号、メールアドレス(大使館・領事館からの連絡、韓国法務部からの完了通知などに使用されるので正確に)
- 住所(住民票通りに記載)
- 韓国の登録基準地(旧本籍地)
- 日本への帰化日(日本の戸籍謄本に記載されている帰化日)
- 取得した国籍名
- その国籍の取得日(=帰化日)
- 家族欄(父母、配偶者、子などの氏名・職業・国籍・住所)
- 日付、署名(申告当日記入、15歳未満は父又は母が署名)
国籍喪失者の基本証明書と家族関係証明書
韓国の家族関係登録事項別証明書のうち、国籍喪失者自身の基本証明書と家族関係証明書が必要です。
東京大使館のサイトには、上記に加えて親の基本証明書(又は除籍謄本)(※1)が必要との記載があります。横浜領事館のサイトには配偶者がいる方は婚姻関係証明書が必要との記載があります。
※1 親の基本証明書は、親が2008年1月1日より前に死亡申告により除籍されている場合には、基本証明書は発行されません。その際には除籍謄本を提出します。
家族関係証明書の見本
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基本証明書と家族関係証明書の取得方法
基本証明書と家族関係証明書は最寄りの大使館、領事館で取得できます。
取得に必要な書類は以下のとおりです。
- 家族関係登録簿等の証明書交付申請書(※1)
- 顔写真付きの身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード・日本旅券)
- 帰化事項が載った日本の戸籍謄本(※2)
※1
正確な登録基準地の情報が必要です。東京・大阪・福岡以外の領事館ではすべてハングルでの記入が必要です。
※2
領事館によっては日本の戸籍謄本の韓国語翻訳文が必要です。
帰化事項が記載された日本の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)(原本と韓国語翻訳文)
帰化事項が記載された日本の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)は最寄りの市区町村役場の市民課で取得できます(広域交付制度ができたことにより本籍地に関わらずどこの市区町村でも取得できるようになり便利になりました)。
帰化事項が記載されていない戸籍謄本は意味をなさないので注意してください。
本籍地を市区町村をまたいで転籍した方や、帰化後に日本人と結婚された女性の方などは、現在の戸籍謄本に帰化事項は載っていませんので、従前の戸籍謄本を取得する必要があります。
帰化事項が載っている戸籍謄本のサンプル

韓国語の翻訳文が必要です。
帰化事項が記載された日本の戸籍全部事項記載証明書(戸籍謄本)には、韓国語の翻訳文を添付する必要があります。
翻訳文の作成は誰がやってもかまいません。翻訳文作成者の名前・連絡先も記入しておくのが安全でしょう。
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